絶滅の危機に瀕(ひん)している野生生物種(絶滅危惧種)のリスト(レッド・リスト)に基づき、種ごとの関連情報をまとめたもの。関連情報としては、分類、分布域や個体数とその動向、生息・生育環境と生態、存続を脅かしている要因、保全対策、参考文献などが含まれる。
レッドということばは、たとえばレッドカードやレッドゾーンなどのように、危険な、危機的なという意味合いをもつ。1966年に国際自然保護連合(IUCN)が、世界的に絶滅のおそれがある野生動物種の関連情報を編集・発行したのが最初のレッド・データ・ブックで、初期のものは情報の加除・更新ができるルーズリーフ形式になっていて、赤色の表紙をつけて束ねられていた。その後、書籍形式のレッド・リストやレッド・データ・ブックも出版されたが、表紙に赤色が使われているものが多い。2000年以降、IUCNはレッド・リストと関連情報をオンラインで公開、内容も2006年以降は毎年更新されるようになっている。
これまで多くの国や地域について、IUCNのレッド・データ・ブックに準じたレッド・データ・ブックが作成されている。日本では、1989年(平成1)に日本自然保護協会と世界自然保護基金(WWF)日本委員会が「我が国における保護上重要な植物種の現状」を公刊し、これが国内最初のレッド・データ・ブックとなった。また環境庁(現、環境省)は、1986年度(昭和61)から「緊急に保護を要する動植物の種の選定調査」を行い、動物について環境省版レッド・データ・ブック「日本の絶滅のおそれのある野生生物―脊椎(せきつい)動物編」と「同―無脊椎動物編」を1991年に発行した。
さらに環境省は、1995年度から、上記のレッド・データ・ブックに掲載されていたレッド・リスト(第一次)の見直しを行い、1997~2000年度(平成12)に哺乳(ほにゅう)類、鳥類、爬虫(はちゅう)類、両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)、植物Ⅰ(維管束植物)、植物Ⅱ(維管束植物以外:蘚苔(せんたい)類、藻類、地衣類、菌類)の計10分類群のレッド・リスト(第二次)を公表し、このリストに基づいて2000~2006年度に分類群ごとのレッド・データ・ブックを発行した。次に2012年度に公表された3回目の見直しによるレッド・リスト(第四次)に基づいて、同じ10分類群ごとのレッド・データ・ブックを2014年度に刊行した。なお、第三次レッド・リスト(2006・2007年度公表)についてのレッド・データ・ブックは作成されていない。2020年度(令和2)からは4回目のリスト見直しが開始され、2024~2026年度の第五次レッド・リスト公表と同時期にレッド・データ・ブックもオンラインのみで公開される予定となっている。
環境省によるレッド・データ・ブックのほか、水産庁によるレッド・データ・ブック「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」が1998年に、また、すべての都道府県によってレッド・データ・ブックが作成・刊行されている。
[石井信夫 2023年7月19日]
『岩槻邦男・太田英利訳『IUCNレッドリスト 世界の絶滅危惧生物図鑑』(2014・丸善出版)』
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…生息数が極端に少なく,保護策を講じない限り,近い将来に絶滅するおそれがあると思われる動物の種,亜種で,天然記念物に指定されたり,ワシントン条約で輸出入が禁止され,あるいはIUCN(国際自然保護連合)のレッド・データ・ブックRed Data Bookに掲げられて保護の必要が訴えられたものが,おおよそこれに該当する。希少動物には,過度の特殊化により自然環境の変化に対応できなくなったり,新しい競合種の出現によって生息域が狭められるなどの自然現象に基づくものと,本来は多数生息していたのに,人類の自然破壊や捕獲の結果個体数が激減した人為的な原因に基づくものとがある。…
※「レッドデータブック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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