日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリアンツ」の意味・わかりやすい解説
アリアンツ
ありあんつ
Allianz SE
ドイツの大手金融サービス会社。ドイツ銀行、コメルツ銀行とともにドイツの金融業界を形成し、他産業に対して大きな影響力をもつ大企業である。アリアンツは、持株会社形態をとっており、傘下に多数の企業を抱えるホールディング・コンツェルンHoldings-Konzernである。本社はバイエルン州ミュンヘンにある。
1890年、ベルリンに設立されたアリアンツ保険会社Allianz Versicherungs AGがその発祥である。1922年、アリアンツ生命保険会社Allianz Lebensversicherungs AGが同じくベルリンで設立された。その後国内の企業を次々と傘下に加え、1949年にアリアンツ保険はミュンヘンに、アリアンツ生命保険はシュトゥットガルトに本部を移した。1959年にはフランス、1966年にはイタリアに会社を設立し、その後国外事業を本格化させていった。1990年、東西ドイツ統合に伴い、東ドイツの保険会社の業務を引き継いだ。ヨーロッパの金融再編が進むなか、経営の安定を図るため、1997年、フランスの保険会社AGFを買収した。また、1999年1月に単一通貨ユーロが誕生したのを機に大型の企業買収や提携が相次ぎ、アリアンツも同年11月にアメリカの資産運用会社ピムコPIMCO Advisors Holdings L.P.を買収、2000年2月にはフランスの通信機器大手アルカテル社Compagnie Financière ALCATELと光通信システムの開発で提携するなど、積極的な経営を展開している。日本では、1990年にアリアンツ火災海上保険株式会社が設立されている。
2000年11月、ニューヨーク証券取引所に株式を上場した。2001年、ドレスナー銀行を買収したが、2009年1月にコメルツ銀行へ売却し、その後まもなくアリアンツ銀行を設立。2006年にアリアンツAGは、ドイツ法に基づく会社(AG)からヨーロッパ連合法に基づく会社(SE=Societas Europaea:ヨーロッパ会社)に転換し、アリアンツSEとなった。2008年の総資産額は9556億7000万ユーロ、総売上高は925億4800万ユーロ。従業員数は18万2865人。日本では2006年(平成18)12月にアリアンツ生命保険株式会社を設立し、2008年から営業を開始した。
[所 伸之]