アルゲージ(その他表記)Tudor Arghezi

改訂新版 世界大百科事典 「アルゲージ」の意味・わかりやすい解説

アルゲージ
Tudor Arghezi
生没年:1880-1967

ルーマニア詩人。本名テオドレスクIon N.Theodorescu。11歳で家を出,19歳の時に修道士となり,スイスの神学大学へ派遣されたが還俗し,各地を放浪して1911年に帰国。神への信仰懐疑にまつわる苦しみを宇宙的イメージで歌った詩を次々と発表,20世紀最大の思想詩人と目されるにいたった。代表作は,《ふさわしい言葉》(1927),《かびの花》(1931),《輪舞》(1939),《人間賛歌》(1956)などの詩集評論小説も多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルゲージ」の意味・わかりやすい解説

アルゲージ
Arghezi, Tudor

[生]1880.5.21. トゥルグジウ
[没]1967.7.14. ブカレスト
ルーマニアの詩人。本名 Ion Teodorescu。初期には象徴派の詩人として活躍したが,一時修道院に入って詩作断念,のちスイス,フランスを放浪して苦難の生活をおくり 1918年に帰国,以後社会主義的な思想と宗教的心情を貫きながら詩作に専念した。その反権力的姿勢のため,18年,43年と2回にわたって逮捕され,獄中生活をおくった。代表作,詩集『ふさわしい言葉』 Cuvinte potrivite (1927) ,『黴 (かび) の花』 Flori de mucigai (31) ,『輪舞』 Hore (39) ,『人間賛歌』 Cîntare omului (56) ,評論集『黒い門』 Poarta neagrǎ (30) ,小説『リーナ』 Lina (41) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルゲージ」の意味・わかりやすい解説

アルゲージ
あるげーじ
Tudor Arghezi
(1880―1967)

ルーマニアの詩人。青年時代、社会主義の運動に参加し、のち修道院に入ったりした経歴をもつ。その詩は苦渋に満ちた精神的彷徨(ほうこう)の跡を刻み、初期の詩にはフランス象徴派の影響もみられる。第一次世界大戦後の詩には、絶対者への信仰と懐疑の間を揺れ動く苦しみと、社会的不正への憤りが交錯している。『ふさわしい言葉』(1927)、『黴(かび)のはな』(1931)などの詩集のほか、雑誌『鸚鵡(おうむ)の手帖(てちょう)』を発刊して時の政治権力を激しく批判し、第二次世界大戦末期には強制収容所へ送られた。戦後には、人類反抗の歴史と人間性への希望を歌った詩集『1907年』(1955)、『人間賛歌』(1956)などを発表した。

[直野 敦]

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