改訂新版 世界大百科事典 「アルデンヌ山地」の意味・わかりやすい解説
アルデンヌ山地 (アルデンヌさんち)
Ardenne
ベルギー南東部からルクセンブルク,フランス北部国境付近に広がる高原状の山地。平均的には標高350~500mで,北東部で650mを超え,リエージュ南東のボトランジュ山(694m)が最も高く,東方はドイツのアイフェル丘陵につづく。古期結晶岩類からなり,なん回かの準平原化をうけたのち,第三紀に隆起・変形をうけた高原で,ムーズ(マース)川とその支流によって深く刻まれている。山地は森林におおわれ,ライ麦,ジャガイモ,牧畜飼料の生産が主で,最近は家畜の飼育が盛ん。産業や都市は,山地の周縁部を刻むムーズ河谷に集中しており,フランス領内のスダン(セダン),メジエール,ベルギー領内のナミュール,リエージュなどがある。第1次,第2次世界大戦時には,ドイツ軍の西方への進攻路となり,激戦地,古戦場として名高い。
執筆者:米倉 伸之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報