ベルギーの運河。リエージュとアントワープ港を結び,全長129.6km。国王アルベール1世にちなんで命名された。第2次大戦前,リエージュとその周辺地域はムーズ川に臨むベルギー最大の工業(石炭・鉄鋼業)地域であったが,ムーズ川はリエージュを過ぎるとオランダ領に入るので,ベルギー領内を通過してこの地域とアントワープ港とを直接に結ぶ運河として,1930年に着工し,39年開通した。リエージュとアントワープの標高差は約56mで,6個の閘門を備え,2000トンの船舶が1~2日で航行できる。国内水路輸送量の約40%を占め,年間の貨物輸送量は約4000万t(1973)。リエージュからは建材,石炭,金属,ガラス製品など,アントワープからは鉄鉱,石油などが運ばれる。70年代に運河に沿ってボードゥアン高速自動車道が建設され,沿岸地域は新工業地域として脚光を浴びている。建設当時,運河は東部および北部国境からのドイツ軍侵入に対する防衛線として,戦略的重要性を帯びていた。
執筆者:栗原 福也
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