改訂新版 世界大百科事典 「アルミノケイ酸塩鉱物」の意味・わかりやすい解説
アルミノケイ(珪)酸塩鉱物 (アルミノけいさんえんこうぶつ)
aluminosilicate minerals
SiO4四面体を基本構成単位とするケイ酸塩鉱物のうち,四面体位置のSiの相当量をAlが置換している鉱物の総称。長石,雲母,沸石,粘土鉱物などが該当する。地殻中に最も豊富に存在する元素のO,Si,Alを主成分とし,その代表格である長石族鉱物は,地殻体積の約60%を占めるといわれる重要な造岩鉱物である。ケイ酸塩鉱物ではSiO4四面体の重合度が増すにつれAl/Si比が大きいものが出現するという傾向がある。Alによる置換は,Al-O-Alという結合が生じない範囲内に限定されるという,ルーウェンシュタインLoewensteinの法則を,鎖状ケイ酸塩,層状ケイ酸塩,網状ケイ酸塩にあてはめると,Al/Si≦1.0という制限となるが,実在のケイ酸塩鉱物はほとんどがこの制限を満足している。Si4⁺がAl3⁺に置換されることによって生ずる陽電荷の不足は,四面体以外の位置にある陽イオンの個数の増加や,より高電荷の陽イオンによる置換によって補われる。例えば斜長石系列は後者の例であり,曹長石NaAlSi3O8と灰長石CaAl2Si2O8の両端成分から,NaSi⇄CaAl型置換により導かれる。結晶構造中のSiとAlの分布の規則性はその鉱物の熱的履歴と関係が深い。高温では両者の分布は無秩序であるが,温度低下につれ,より規則的配列をとるようになる。カリ長石における,ハリ長石,正長石,微斜長石はこの典型例であり,この順に秩序度が高くなる。
執筆者:青木 正博
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