日本大百科全書(ニッポニカ) 「微斜長石」の意味・わかりやすい解説
微斜長石
びしゃちょうせき
microcline
カリ長石の一種で、三斜晶系に属する鉱物。正長石との肉眼的識別は不可能である。また、正長石は微斜長石のきわめて単斜相に近いものと考えて両者を別種扱いにしないこともある。すなわち、カリ長石のうち、単斜相は玻璃長石(はりちょうせき)、三斜相は微斜長石とするわけである。したがって微斜長石には完全な三斜相からきわめて単斜相に近いものまで存在する。柱状ないし短柱状結晶のほか塊状をなす。ほとんどつねに双晶をしている。花崗(かこう)岩、閃長(せんちょう)岩などの深成岩およびそれらのペグマタイト中にきわめて普通に産する。また、片麻(へんま)岩などの変成岩中にもよくみられる。スカルン中に灰鉄輝石や灰礬(かいばん)ざくろ石などと産する。青緑色を帯びたいわゆる天河石(てんがせき)(アマゾナイト)は微斜長石のことが多い。二方向の劈開(へきかい)のなす角が90度より少しずれるので、英名は、少し傾いているという意味のギリシア語に由来する。
[松原 聰]