アンカシュ県(読み)アンカシュ(その他表記)Ancash

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンカシュ県」の意味・わかりやすい解説

アンカシュ〔県〕
アンカシュ
Ancash

ペルー中部,太平洋にのぞむ県。県都ワラス。乾燥した海岸平野とアンデス山脈から成り,北東はアマゾン川源流マラニョン川によって限られる。大部分はけわしい山地で,深いマラニョン川の河谷と県中央部を北西流するサンタ川の谷にはさまれたブランカ山脈には,同国の最高峰ワスカラン山 (6768m) をはじめ万年雪や氷河をいただく高峰がそびえる。サンタ川上流部の谷はワイラス谷と呼ばれ,同県で最も人口密度が高い地域で,県都もここに立地する。高地ではジャガイモ,オオムギ,低地ではトウモロコシイネサトウキビなどが栽培されるが,県経済の主柱は鉱工業で,主要鉱産物石炭,銀,銅,鉛など。この石炭とサンタ川に建設された水力発電所からの電力を利用して,太平洋岸のチンボテに製鉄業が立地。 1970年5月の地震とそれに伴う地すべりにより,県内の町や村,道路などが広範囲にわたって大きな被害を受けた。太平洋岸をパンアメリカン・ハイウェーが通り,ここから分岐する道路がネグラ山脈を横切ってワイラス谷へ通じる。面積3万 5041km2。人口 100万 6200 (1991推計) 。

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