日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンドロゲン」の意味・わかりやすい解説
アンドロゲン
あんどろげん
androgen
男性ホルモンおよびこれと同じ生理作用をもつ物質の総称。胎生期の性分化、生殖器官の機能維持、雄の第二次性徴の発現、タンパク質同化作用の促進などの作用をもつ。化学的にはいずれもステロイド誘導体である。精巣のライディッヒLeydig間細胞から分泌される。天然にあるおもなホルモンとして、もっとも強い生理活性を示すテストステロンをはじめ、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオンなどがある。そのほか副腎(ふくじん)皮質中に検出されるアドレノステロンもアンドロゲンの一つである。
医薬品としては、テストステロンアセテートおよびプロピオネート、テストステロンの17の位置にメチル基を入れたメチルテストステロンなどがある。
男性ホルモンのタンパク質同化作用による筋力増強を目的として、人工的に合成されたスタノゾールなどのアナボリックステロイドの使用(ドーピング)が近代スポーツにおいて問題となっており、これらのステロイドの検査(ドーピング検査)が実施されている。
[藤本善徳]