改訂新版 世界大百科事典 「アンバーシステム」の意味・わかりやすい解説
アンバー・システム
AMVER system
automated mutual assistance vessel rescue systemの略称で,洋上で非常事態が発生したとき,迅速に救難活動が行えることを目的とした船の位置通報制度のこと。アメリカの沿岸警備隊が管理している。1958年に発足。この制度への加入は任意であって,出港の際アンバー・センターに船名や航海計画などを通報すれば,このシステムに加盟したものとみなされる。出港後は緯度または経度が15°変化する程度の間隔で位置を通報し,入港直前にも通報する。アンバー・センターに通報されたデータはコンピューターに記憶され,次に位置が報告されるまでは,コンピューターがつねに推測船位を計算している。船が救援を希望するときには,アンバー・センターのコンピューターから,自船の近くを航行中の船の位置や,その船に医者が乗船中かどうかなどの情報を入手することができる。データは海上の安全のためにのみ使用される。
執筆者:久々宮 久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報