日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンモニア酸化法」の意味・わかりやすい解説
アンモニア酸化法
あんもにあさんかほう
アンモニアNH3を酸化して硝酸HNO3を製造する方法。アンモニアを空気または酸素と混合し、900℃程度の高温で触媒の助けを借りて反応させ、一酸化窒素NOを得、冷却後、これをさらに酸化して二酸化窒素NO2にする。この二酸化窒素を水に吸収させて硝酸を製造する。
4NH3+5O2―→4NO+6H2O
2NO+O2―→2NO2
3NO2+H2O―→2HNO3+NO
この吸収過程でも一酸化窒素を生ずるがこれはふたたび二酸化窒素に変えて水に吸収させる。酸化や吸収の工程を1気圧で操業する常圧法では製品濃度は50~60%であるが、圧力を高める方式(中・高圧法)では65~68%のものが得られる。触媒として白金または白金・ロジウム合金の細線を網に編んで使用する。この触媒を用いる方法は1902年ドイツのオストワルトによって開発されたのでオストワルト法ともよばれているが、工業化に成功したのは同じドイツのフランクAdolf Frank(1834―1916)とカロNikodem Caro(1871―?)で1914年のことである。
[足立吟也]