改訂新版 世界大百科事典 「イラク博物館」の意味・わかりやすい解説
イラク博物館 (イラクはくぶつかん)
Iraqi Museum
バグダードにある考古学博物館。イラク王国の独立とともに,1923年にティグリス川東岸の隊商宿の一室に設けられた展示室から出発した。翌年制定された古物法により,イラク国内の遺跡の発掘品が続々とこの博物館に収蔵され,やがてマームン通りの建物に移転。66年に現在の建物がティグリス川西岸に完成し全収蔵品がここに移管され,考古総局,図書館などを完備した近代的博物館となった。収蔵品の大半は考古学的発掘品で,展示は以下の6部門より構成される。(1)先史時代,(2)シュメール文化,(3)古バビロニア文化,(4)アッシリア帝国および新バビロニア王朝,アケメネス朝の文化,(5)ギリシア文化の影響が顕著なハトラ都市遺跡の出土彫刻,パルティア~ササン朝のガラス器,彩釉陶器,(6)イスラム時代の工芸品,建築。
執筆者:田辺 勝美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報