日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワガネ」の意味・わかりやすい解説
イワガネ
いわがね
[学] Oreocnide frutescens (Thunb.) Miq.
イラクサ科(APG分類:イラクサ科)の落葉低木で高さは2メートル内外。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形で裏面に白い綿毛があり、カラムシの葉を細くしたような外観がある。雌雄異株で花は春に古い葉の腋(えき)に数個ずつ固まってつき、柄(え)がない。雌花の花被(かひ)は2枚あるが互いにくっついて果実を包み、果実期には白色の多汁質になる。四国と九州にややまれに生育するが、国外では中国大陸からヒマラヤにかけて広く分布する。中国名は紫麻。
同じ属のものにハドノキO. pedunculata (Shirai) Masam.があり、伊豆(いず)半島以西の太平洋側に広く分布し、イワガネのない沖縄や台湾にもみられる。本種は葉の裏に白い綿毛がなく、花序に柄があることでイワガネと区別できる。中国名は長梗紫麻。九州では両者の雑種も知られている。イワガネ属は東アジアからマレーシア地域にかけて18種ほどがある。
[米倉浩司 2019年12月13日]