投資銀行と訳される。証券の新規発行の引受業務を中心に,長期資金調達を図る証券発行者と投資家との間の仲介業務を主たる業務とするアメリカの証券業者のことである。その伝統的業務は,証券の公募発行の引受け,証券の私募発行の仲介,企業の合併・買収の仲介,プロジェクト・ファイナンス(ある特定の投資計画に対して行う資金貸付け),既発行証券を対象とするエクスチェンジ・オファーの仲介,その他企業の金融上の諸問題のコンサルティング業務などであるが,今日では大部分の業者は,こうした企業金融業務を中心にしつつも,公社債・株式の流通市場における委託売買業務やディーラー業務をも幅広く営み,総合証券会社となっている。沿革的には,南北戦争時に大量に発行された国債の引受け・販売を契機として専業として成立し,その後19世紀後半から20世紀初頭にかけての鉄道建設ブーム,企業の集中・合併など産業再編成ブーム,新興産業の発展の過程のなかで本格的に発展した。当初は大口預金の受入れや貸付けなどの商業銀行業務も兼営していたが,1933年銀行法(グラス・スティーガル法)によって商業銀行業務と投資銀行業務(証券業務)の兼業が禁止されたため,今日ではいわゆる銀行業務は行わない。
執筆者:打込 茂子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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