ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウァレンチニアヌス1世」の意味・わかりやすい解説
ウァレンチニアヌス1世
ウァレンチニアヌスいっせい
Valentinianus I; Flavius Valentinianus
[没]375.11.17. ブリゲチオ
ローマ皇帝 (在位 364~375) 。軍人の子で父とともにアフリカまで従軍。のちユリアヌス帝の下で台頭,ササン朝のペルシア遠征に加わる。ユリアヌス,ヨウィアヌス帝が相次いで没し,そのあとニカイアで軍隊から皇帝に推された。東方を弟ウァレンスにゆだね,みずからは西方を統治。社会組織の確立に努め,身分世襲制,国家への奉仕義務を強化。特に国境防衛に腐心し,軍事力を強化してブルグンド,サクソン,クアデイ,アラマンニなどの諸族と戦い続けた。自身は無学だったが,学校をつくり,医療を充実させた。また熱心なキリスト教徒でありながら宗教面では寛容策をとった。ドナウ地方に侵入したゲルマンと交渉中急死。
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