地方税の徴収について,給与支払者,事業経営者などに納税義務者が負担すべき税を徴収させ,その徴収すべき税を納付させること。国税である所得税の源泉徴収としくみは同じである。特別徴収される地方税は,個人住民税,ゴルフ場利用税,特別地方消費税,軽油引取税,入湯税などである。地方税のうち個人事業税,鉱区税,不動産取得税,固定資産税,都市計画税等については,徴税職員が納税通知書を納税義務者に交付して徴収する方法(普通徴収)がとられ,また住民税のように両方の徴収手続の認められる税も多い。
住民税の特別徴収手続についてみると,まず市町村は,4月1日に納税義務者に対して給与の支払をなす者のうち所得税法によって源泉徴収義務を負う者を特別徴収義務者として指定し,原則として5月末日までに特別徴収税額をその特別徴収義務者およびこれを経由して納税義務者に通知する(地方税法321条の4)。特別徴収義務者は,市町村長から通知をうけた場合には,6月から翌年5月まで,その12分の1の額をそれぞれ給与の支払をする際に毎月徴収し,その徴収した月の翌月10日までにこれを市町村に納入する義務を負う(321条の5。ただし,6月1日以降に通知がなされたときには,通知の翌月から翌年の5月までの月数で特別徴収税額を除して得た金額を毎月徴収納付しなければならない)。またゴルフ場利用税,入湯税等の場合,条例によって特別徴収義務者に指定された者は,納期限までに,課税標準額,税額等を記載した納入申告書を地方団体の長に提出し,その納入金をその地方団体に納入しなければならない。
執筆者:畠山 武道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…すなわち,第1に,かつては,国家が私人に徴税を請け負わせる制度(徴税請負)等も存在したが,今日においては,国家ないし地方公共団体が直接徴税を行うのが原則である。ただし,現在も,納税義務者以外の第三者に租税を徴収させて,これを国または地方公共団体に納付させる徴収納付の制度が広く採用されている(所得税の源泉徴収や,住民税その他の地方税の特別徴収)。第2に,かつては,物納も重要な位置を占めていたが,近代国家の成立とともに金銭による徴収が主流を占めるようになった。…
※「特別徴収」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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