化学辞典 第2版 「ウィスリツェーヌス」の解説
ウィスリツェーヌス
ウィスリツェーヌス
Wislicenus, Johannes
ドイツの有機化学者.ルター派の牧師だった父親が自由思想の嫌疑で逮捕されそうになったので,1853~1856年一家で一時アメリカに避難した.帰国後,ハレ大学を卒業.1861年チューリヒ上級工業学校化学教授,1867年チューリヒ大学教授,1870年スイス連邦工科大学教授を歴任.1876年ビュルツブルク大学教授を経て,A.W.H. Kolbe(コルベ)の後継者として,1885年ライプチヒ大学教授になる.1865年筋肉のエネルギー源が,炭水化物や脂肪であることを証明.乳酸とその異性体の研究を行い(1863~1873年),原子の立体的配置の相違による幾何異性の概念を提唱し,1874年のJ.H.van't Hoff(ファントホッフ)の炭素原子の正四面体構造説への刺激となった.かれはこの説を熱烈に支持し,さらに不飽和炭素化合物の立体異性の研究(1887年)で立体化学の発展に貢献した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報