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幾何異性 きかいせいgeometrical isomerism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幾何異性
きかいせい
geometrical isomerism

立体異性の一種。二重結合または環に結合する置換基によって生じる異性現象。炭素-炭素二重結合は炭素-炭素単結合と異なり,結合軸のまわりの回転がないことが理論,実験の両面から示されている。その結果,二重結合炭素に結合している他の原子または原子団相互の配置は固定されることになる。マレイン酸フマル酸は平面構造をもち,カルボキシル基が二重結合に対して同じ側にある前者の場合をシス異性体,後者のように二重結合に対して反対側にあるものをトランス異性体という。光学異性体と違い,幾何異性体同士は沸点,融点,比重などの物理的性質および化学的性質が異なる。一般にトランス化合物のほうが安定。2個のカルボキシル基をもつ場合,シス化合物は酸無水物をつくりやすい。

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百科事典マイペディアの解説

幾何異性【きかいせい】

立体異性の一つ。無機化合物では錯体内での配位子の立体配置の相違によって生ずる異性現象。たとえば,トランス‐[CoCl2(NH34](+/)(緑色)と,シス‐[CoCl2(NH34](+/)(紫色)。
→関連項目異性グッタペルカ

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世界大百科事典 第2版の解説

きかいせい【幾何異性 geometrical isomerism】

もともとは炭素‐炭素二重結合に結合する置換基の位置の関係によって生じる異性。現在では炭素以外の原子を含む二重結合や環式化合物に結合する置換基,錯体での配位子の位置などの関係によって生じる異性をもさす。1874年ファント・ホフ炭素原子正四面体構造を論じた論文で,分子内に自由回転できない二重結合をもち,しかも二重結合している炭素にいずれも同じ置換基が結合しているとき,二つの原子(団)が二重結合の同じ側にくる場合と反対側にくる場合があることを指摘した。

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大辞林 第三版の解説

きかいせい【幾何異性】

有機化合物の分子内で原子や原子団の回転が困難であるために生じる異性で、立体異性の一。二重結合または環状構造をつくる炭素(または窒素)原子に結合するそれぞれ二個(一個)の原子または原子団のうちの同じものが、その二重結合または環に対して同じ側にある化合物と反対側にある化合物に現れる異性。シス-トランス(シン-アンチ)異性。
錯体の中心原子に配位する同種または類似の配位子が、互いに隣り合っているもの(シス型)と離れた距離にあるもの(トランス型)とが示す立体異性。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

幾何異性
きかいせい
geometrical isomerism

分子やイオンの立体構造の違いによって生ずる異性の一種。有機化合物では、二重結合あるいは脂環構造をもつものに多くみられ、錯体では配位子位置の相互関係から生ずるものが多い。炭素‐炭素二重結合を挟んだシス‐トランス異性の例にはマレイン酸とフマル酸があるが、同様の幾何異性が窒素‐炭素あるいは窒素‐窒素二重結合に関するときにはシン‐アンチsyn-anti異性という。二重結合についてはE、Z方式という表記法もある。シクロプロパンジカルボン酸では、環を挟むシス‐トランス異性がある。
 同じ配位子を2個もつ平面4配位錯体および八面体6配位錯体では、中心原子に対してのシス‐トランス異性がある。八面体6配位錯体で配位子の種類と個数の組合せが複雑になると、さらに多くの幾何異性が現れる。[岩本振武]

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