ウィレンドルフのビーナス(その他表記)Venus of Willendorf

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ウィレンドルフのビーナス
Venus of Willendorf

旧石器時代女性裸像。1909年オーストリアのウィレンドルフ(→ウィレンドルフ遺跡)で,鉄道工事の際に偶然発見された。乳房腹部臀部,股部が極端に誇張されており,生殖出産を象徴する呪術的,原始的崇拝対象と考えられる。制作時期はオーリニャック文化期。石灰岩,高さ 11cm。ウィーン自然史博物館蔵。

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世界大百科事典(旧版)内のウィレンドルフのビーナスの言及

【脂臀】より

…この身体的特徴を,人類学で脂臀と呼ぶ。ヨーロッパの旧石器時代後期遺跡で発見され,〈ビーナス〉と呼ばれている岩石製ないし象牙製の女性像(彫像)が,豊満なからだつきを示し,脂臀の状態をあらわしていることで有名である(ウィレンドルフのビーナスなど)が,このほうは人種的特徴というよりも,豊穣を祈るといった宗教的願望の表現ではないかと言われている。【岩本 光雄】。…

【乳房】より

…カモノハシでは約200個の乳腺が乳区という一区域に分布し,乳房も乳頭もないので乳汁は乳毛という硬い毛に沿って流れ,子はこれをなめて育つ。 ウィレンドルフ出土のビーナス像(いわゆる〈ウィレンドルフのビーナス〉),ローセル出土のビーナスのレリーフ,古代のエジプトやインドの女神像など,いずれも豊満な乳房を誇示している。日本の縄文土偶も例外ではない。…

【ビーナス】より

…ローマの女神ウェヌスVenusの英語名。ウェヌスはもとはローマの菜園を守る小女神であったが,のちにギリシアの女神アフロディテと同一視され,愛と美をつかさどる女神の総称となった。
[旧石器時代の地母神崇拝]
 ビーナスの原型およびビーナスにまつわる神話は,太古の地母神崇拝に起源をもっている。植物を生ぜしめる大地を地母神(大母神)とみなす思想は,古代世界各地に見られる。そのような思想を美術的に表現した地母神像として有名なものには,旧石器時代にさかのぼる〈ウィレンドルフWillendorfのビーナス〉や〈レスピューグLespugueのビーナス〉があり,他にも同種のものが無数に出土している。…

※「ウィレンドルフのビーナス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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