エピスシア(その他表記)carpet plant
Episcia

改訂新版 世界大百科事典 「エピスシア」の意味・わかりやすい解説

エピスシア
carpet plant
Episcia

エピシアともいう。イワタバコ科の1属。小型の多年草で,メキシコからブラジル,西インド諸島に約10種が分布する。葉に美しい模様が入り,オリヅルランのように四方に子株が垂れ下がるので,観葉植物として温室内で吊鉢栽培され,多くの園芸品種がある。茎は短く,これに楕円状で全面に微細な毛を帯びる葉を対生につける。葉腋ようえき)から長い側枝が伸びて垂れ下がり,これに子株を生じる。頂部の葉腋に先が5裂する小型の筒状花をつける。花色は紅,白,すみれなどがあり,美しい。日本ではおもに紅色花をつけるベニギリソウベニハエギリE.cupreata Hanst.(英名flame violet)が栽培され,またこれから多数の園芸品種が作出されている。子株を切りとり,挿木してふやす。冬は最低15℃くらいが必要で,夏は遮光下で湿度を高くして栽培する。培養土には排水のよい多孔質のものを用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エピスシア」の意味・わかりやすい解説

エピスシア
えぴすしあ
[学] Episcia

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の常緑多年草で、熱帯アメリカの森林帯に約40種が自生する。葉は対生し、四方にストロンを伸ばして、先端に子株をつくるが、直立茎でストロンを出さない種類もある。ベニハエギリ(ハイベニギリ)E. cupreata Hanst.は銅緑色の長卵形葉で、緋紅(ひこう)色の筒状花をつける。本種からは、葉色や斑(ふ)模様の変化した園芸品種が多数つくられ、鉢物として人気がある。アカジョウcv. Acajouは銀白色の斑が入る強健種で、普及している。15℃以上の高温と多湿を好む。日陰でよく育ち、吊(つ)り鉢やテラリウムなど室内園芸に適している。挿木で殖やす。

[高林成年 2021年7月16日]

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百科事典マイペディア 「エピスシア」の意味・わかりやすい解説

エピスシア

熱帯アメリカ原産のイワタバコ科の多年草で,10種ほどがある。株全体に軟毛があり,匍匐(ほふく)枝を出してふえる。ベニギリソウは5〜9月,あざやかな紅色の花を開き,鉢植にして花と葉を観賞する。ベニギリソウを起源とする園芸品種も多い繁殖はさし芽,株分けによる。日陰を好む。

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