エランビタール(その他表記)élan vital

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エランビタール」の意味・わかりやすい解説

エラン・ビタール
élan vital

「生命の飛躍」の意。『創造的進化』に用いられたベルグソン自然哲学の主要概念であり,「精神的エネルギー」の語も同義。 1824年 S.カルノーが発見したエネルギー散逸法則に注目した彼は,この法則から自然が平衡状態への傾向をもち,平衡に達するとエネルギーの源泉が涸れることを看取し,エネルギーの源泉を問うて全存在の根底に生命力としてのエラン・ビタールをおいた。エネルギーは散逸する以前に創造力であり,エランは上向して精神へ向う創造力となり,生命が下向しエランを失うと物質に向う。そこに機械的自然観で失われていた,アリストテレス以来の無機物-植物-動物-精神存在の位階が,エラン・ビタールを一元的原理として復活された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

106万円の壁

会社員に扶養されるパートら短時間労働者は年収106万円以上になると厚生年金保険料などの負担が生じて手取りが減る。将来の年金額は手厚くなるが、働き控えを招く「壁」とされ、企業の人手不足の要因となる。厚...

106万円の壁の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android