エリクトニオス(その他表記)Erichthonios

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリクトニオス」の意味・わかりやすい解説

エリクトニオス
Erichthonios

ギリシア神話アテネの伝説的王。アテナに欲情し,凌辱しようとしたヘファイストス精液が彼女の脚に流れたのを女神が羊毛でふき取って捨てたところ,それによって大地が懐妊し生れた子で,上半身は人間,下半身はへびの形をしていた。アテナはこの子をふたをした籠に入れ,当時アテネを支配していたケクロプス王の3人の娘たちに,中を見ることを禁じて預けた。しかし彼女たちは好奇心を押えられずに籠を開けて中の奇怪な嬰児を見てしまい,驚愕のあまり発狂してアクロポリス断崖から身を投げて死んだ。アテナに育てられたエリクトニオスは,成人するとケクロプスに譲位されてアテネの王になり,ニンフのプラクシテアと結婚して息子パンディオンをもうけた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android