エレクテウス(その他表記)Erechtheus

改訂新版 世界大百科事典 「エレクテウス」の意味・わかりやすい解説

エレクテウス
Erechtheus

ギリシア伝説のアテナイ王。父パンディオンの死後,その王位を継いだ。ポセイドン神の子でトラキア人のエウモルポスがエレウシス人を率いてアテナイに攻め寄せたとき,娘の一人を犠牲にささげるならば勝利を得ようとの神託を受けたエレクテウスは,くじで娘を選び犠牲に供すると,他の娘たちも自害してその後を追った。こうして彼は戦いに勝利をおさめたが,息子を殺されて怒ったポセイドンにより,家もろとも滅ぼされたとも,ポセイドンの依頼をうけて放たれたゼウス雷霆(らいてい)により,うち殺されたともいう。英詩人スウィンバーンの悲劇《エレクシュース》(1876)は,この伝承に取材した作品である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エレクテウス」の意味・わかりやすい解説

エレクテウス
Erechtheus

ギリシア神話に登場するアテネの伝説的王。大地から生れたエリクトニオス王の息子パンディオンの子とされるが,エリクトニオスとしばしば混同され,また彼の名にちなんでエレクテイオンと呼ばれたアクロポリスにおける最古神殿祭祀では,ポセイドンとも密接に結びつけられており,この3者はもとは同一であった可能性が強い。パンディオンの跡を継いでアテネの王になり,エレウシスと戦い,神託の教えに従い娘をいけにえに捧げてアテネに勝利をもたらしたが,その直後に,この戦闘で自分の息子であるトラキア王エウモルポスがエレウシス方に味方して戦死したのを怒ったポセイドンがゼウスに要請してエレクテウスを雷で打殺させたという。

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百科事典マイペディア 「エレクテウス」の意味・わかりやすい解説

エレクテウス

ギリシア伝説上のアテナイ王。エリクトニオスと混同される。ガイアから生まれアテナ女神に養育されたという。エレウシス人を率いたトラキアのエウポルモスに侵攻された時,デルフォイの神託によって娘を犠牲にささげ,市を救った。

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