改訂新版 世界大百科事典 「エルムズリー」の意味・わかりやすい解説
エルムズリー
Peter Elmsley
生没年:1773-1825
イギリスの古代ギリシア文学研究者。オックスフォード大学古代史教授。フィレンツェのメディチ家図書館収蔵のソフォクレスのL写本(10世紀)を校合したり,ナポリ博物館収蔵のヘルクラネウム・パピルスを調査するなど,19世紀の古文書学やパピルス学を先駆ける一歩を画しているが,主たる貢献は古代ギリシアの悲劇・喜劇作品の校訂と注釈に認められる。18世紀末のイギリスの碩学R.ポーソンが確立した韻律学の基礎と本文批評の原則に従って,エルムズリーは,古代劇詩人たちの措辞・語法の究明と,文意釈義の領域で大きな足跡を残した。アリストファネスの《アカルナイの人々》,ソフォクレスの2編の《オイディプス》劇作品,エウリピデスの《ヘラクレスの子ら》《メデイア》《バッコスの信女》などの校訂・注釈にその成果が認められる。
執筆者:久保 正彰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報