改訂新版 世界大百科事典 「ポーソン」の意味・わかりやすい解説
ポーソン
Richard Porson
生没年:1759-1808
イギリスの古典学者。庇護者の援助と奨学金により,イートン校からケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに進み,1782年から10年間にわたり同カレッジのフェローを務めた。92年にはケンブリッジ大学ギリシア語教授に就任したが,晩年はロンドンに本拠を構えた。R.ベントリーを先達として仰ぎ,特にアッティカ古典期の悲劇,喜劇,散文の措辞と語法の厳密な検討に専念して,エウリピデスの悲劇4編のテキストを校訂するとともに,多数のテキスト修訂の提案を行った。ポーソンが発見した悲劇詩の韻律の規則は現在でも〈ポーソンの法則〉の名で知られている。また彼のギリシア文字の筆跡の美しさは生前から名高く,死後その筆跡を模した活字が制作され,現在に至るまで古代ギリシア語の標準的な活字として使用され続けている。
執筆者:片山 英男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報