日本大百科全書(ニッポニカ) 「エロジューム」の意味・わかりやすい解説
エロジューム
えろじゅーむ
[学] Erodium L′Her.
フウロソウ科(APG分類:フウロソウ科)の一、二年草または多年生の亜低木。高さ5センチメートルのものから30センチメートルになる種もある。葉は浅く裂けるか羽状に多裂する。花弁、萼片(がくへん)とも5枚。雌しべは熟すと螺旋(らせん)状にねじれ、吸湿性があり、晴雨表示の役目ともなる。花は白、桃、紫紅色。葉に香気をもつ種もある。ヨーロッパ、中央アメリカ、中央アジアなど、世界の温帯を中心に約60種が分布しており、日当りのよい草原、岩礫地(がんれきち)、礫草原などに生育する。属名はギリシア語のerodiosにより、鳥類のアオサギの意味で、果実などの細長くなる点をサギなどの嘴(くちばし)に見立てたもの。花壇やロック・ガーデン用とする。『草木図説』にも記載されている。日本ではオランダフウロなどが帰化植物として知られている。
[冨樫 誠 2020年8月20日]