エーヌ県(読み)エーヌ(その他表記)Aisne

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エーヌ県」の意味・わかりやすい解説

エーヌ〔県〕
エーヌ
Aisne

フランス北部,ピカルディ地域 (レジオン) の県。パリ盆地北部を占め,北東端はベルギー国境と接する。県都ラン。北西部はベルマンドア丘陵地で,白亜質の基盤が黄土におおわれ,コムギテンサイを栽培する豊かな農業地帯。ウシの飼育も行われる。北東部はティエラシュ地方で,石英岩質粘土におおわれた湿潤な土壌を有し,森林の間に牧場が散在する。県中部ラン地方は石灰岩質台地で,サンゴバンなど砂層におおわれた部分は森林となっている。この西方を北東に流れるオアーズ川の広い谷は運河も並行し,重要な交通幹線であると同時に工業地区でもある。ショーニはその中心地。エーヌ川に南縁を刻まれたソアソン地区は石灰岩台地で,黄土におおわれたテンサイの大栽培地を形成,エーヌ県をフランス最大の砂糖産地にしている。エーヌ川の広い谷では野菜栽培,牧畜が行われ,この南,起伏の多いタルドノア地方では,斜面には森林,谷底平野には野菜畑,牧場などがみられる。県最南部は黄土におおわれた豊かなブリ台地の北端にあたる。工業は,オアーズ工業地区,サンカンタン工業地区の2つがあって,重工業,繊維工業が主として行われている。そのほか精糖業も盛ん。第1次世界大戦中の激戦地多く,第2次世界大戦でもドイツ軍の「スダン突破口」が知られている。面積 7369km2。人口 53万 7259 (1990) 。

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