日本大百科全書(ニッポニカ) 「オコネル」の意味・わかりやすい解説
オコネル
おこねる
Daniel O'Connell
(1775―1847)
アイルランドのカトリック解放運動の指導者。オコンネルともいう。ケリー州の貧しい農家に生まれたが、地主の伯父の養子となって革命下のフランスに留学した。ジャコバン派の独裁で学校を閉鎖された経験が、彼を非暴力主義にしたといわれている。1798年、カトリックとしてアイルランドで初めて弁護士となった。最初の演説は、イギリスのアイルランド併合に反対の演説であった。1823年にカトリック協会を設立、安い会費でカトリック解放運動を大衆運動として発展させ、1828年のイギリス下院議員補選に当選、議席にはつけなかったが、翌1829年カトリック教徒解放法を出させた。これによって議席についた彼は、十分の一税やイングランド教会制度の廃止を主張したが成功せず、1840年にリピール協会を設立して、併合法撤回(リピール)運動を始めた。運動は大衆的に高揚したが、革命的展開を恐れた彼の中止命令で挫折(ざせつ)した。1847年5月15日、失意のうちにジェノバで客死。
[堀越 智]
『T・W・ムーディ、F・X・マーチン編著、堀越智監訳『アイルランドの風土と歴史』(1982・論創社)』