日本大百科全書(ニッポニカ) 「オシエツキ」の意味・わかりやすい解説
オシエツキ
おしえつき
Carl von Ossietzky
(1889―1938)
ドイツの平和主義者。急進的自由主義の立場から封建的貴族、教会、軍部を批判し、国際的軍縮による平和を主張した。彼の思想的発展には、平和主義者で女性解放論者であった妻モードMaudの影響が大きかったといわれる。第一次世界大戦後、ドイツ平和協会で活動し、1920~1924年、民主党系の『ベルリン人民新聞』の編集に携わるが飽き足らず、雑誌『日記』に移った。さらに1927年、雑誌『世界舞台』Die Weltbühneの主筆に迎えられて論陣を張り、国防軍の秘密再軍備を暴露し、1931年反逆罪に問われ、18か月の禁錮(きんこ)刑に処せられた。ヒトラー政権は1933年2月末、国会議事堂放火事件をきっかけに彼を逮捕。1936年、彼は強制収容所にあって1935年のノーベル平和賞を受けた。
[吉田輝夫]
『加藤善夫著『カール・フォン・オシエツキーの生涯――ドイツ・ワイマル時代の政治的ジャーナリスト』(1996・晃洋書房)』