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逮捕 たいほ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

逮捕
たいほ

捜査機関が捜査手続の過程で,被疑者の逃亡,罪証の隠滅を防止する目的でなす対人的強制処分で,被疑者の身柄の拘束と一定期間の留置を内容とする。人を逮捕するには,令状主義のたてまえから原則として裁判官があらかじめ発した令状を必要とする (憲法 33,刑事訴訟法 199,201) 。しかし,現行犯人に対しては,例外的に私人でも令状なしで逮捕できる (刑事訴訟法 213) 。緊急逮捕 (210条) は,令状主義の立場からみて問題があるが,判例はその合憲性を認めている。被疑者が逮捕されると,警察段階で最長 48時間,検察段階で 24時間,合計 72時間その身柄が留置され,その拘束時間内に勾留請求がなされないときには釈放されることになる。

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百科事典マイペディアの解説

逮捕【たいほ】

被疑者の身体を拘束する行為。検察官検察事務官司法警察職員がなす場合には,裁判官から逮捕状を得て行う(刑事訴訟法199条)が,現行犯は逮捕状なしで逮捕できる。
→関連項目身体の自由捜索令状

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とっさの日本語便利帳の解説

逮捕

刑事訴訟法上、捜査機関または私人が被疑者の身体の移動の自由を拘束すること。憲法では、現行犯人の場合の他は、権限を有する司法官憲の発する令状によらなければ逮捕されないとあるが、刑事訴訟法には緊急逮捕が加えられている。

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世界大百科事典 第2版の解説

たいほ【逮捕】

刑事手続のために法律上許される人の身体の拘束をいう。日本国憲法33条は,〈何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有する司法官憲が発し,且つ理由となってゐる犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない〉と規定している。したがって,現行犯でないかぎり,刑事手続で人の身体を拘束するには裁判官の令状(逮捕状,勾引状,勾留状など)が必要である(令状主義)。 狭義では,刑事訴訟法上の術語として,公訴提起前に被疑者の身体を一時的に拘束することを逮捕という。

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大辞林 第三版の解説

たいほ【逮捕】

( 名 ) スル
捜査機関または私人が、被疑者の身体の自由を拘束し、引き続き一定期間抑留すること。憲法上、現行犯以外は、裁判官の発する令状を必要とする。通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の三種がある。 「誘拐犯人は-された」
他人の身体的行動の自由を奪うこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

逮捕
たいほ

被疑者の身柄を拘束する処分をいう。憲法は、何人(なんぴと)も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲(裁判官)が発しかつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない、と規定している(憲法33条。令状主義)。したがって、逮捕には、憲法上は、令状による逮捕(通常逮捕)と現行犯逮捕があることになるが、刑事訴訟法はこれ以外に緊急逮捕を認めている。[内田一郎・田口守一]

通常逮捕

被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合に、裁判官から逮捕状を得て、検察官、検察事務官または司法警察職員により行われる(刑事訴訟法199条1項)。ただし、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重および態様などの諸般の事情に照らし、被疑者に逃亡のおそれがなく、かつ、証拠を隠滅するおそれがないなど明らかに逮捕の必要がないと認められるときには、逮捕状は発付されない(刑事訴訟規則142条の3)。また、一定の軽微犯罪については、被疑者が住居不定か捜査機関の出頭要求に応じない場合に限り逮捕が可能となる(刑事訴訟法199条1項但書)。[田口守一]

現行犯逮捕

現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者を現行犯人といい(同法212条1項)、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる(同法213条)。現行犯逮捕は、嫌疑が明白であることから、令状主義の例外とされる。検察官、検察事務官および司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、ただちにこれを地方検察庁もしくは区検察庁の検察官または司法警察職員に引き渡さなければならない(同法214条)。司法巡査は、現行犯人を受け取ったときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。司法巡査は、犯人を受け取った場合には、逮捕者の氏名、住居および逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることができる(同法215条)。[内田一郎・田口守一]

緊急逮捕

検察官、検察事務官または司法警察職員は、死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる(同法210条)。逮捕後は、ただちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならず、逮捕状が発せられないときは、ただちに被疑者を釈放しなければならない(同法210条)。憲法第33条は、令状主義の例外を現行犯逮捕のみと規定したので、緊急逮捕が憲法第33条に反しないかが問題となるが、学説・判例はこれを合憲と解している。[内田一郎・田口守一]

逮捕後の手続

逮捕後の手続については、時間の制限がある。(1)検察事務官または司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、ただちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない(刑事訴訟法202条)。(2)司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、または逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、ただちに犯罪事実の要旨および弁護人を選任することができる旨を告げたうえ、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料する(考える)ときはただちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類および証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない(同法203条1項・2項)。
 送致を受けた検察官は、弁解の機会を付与し、留置の必要がないときは、ただちに釈放し、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取ったときから24時間以内に、裁判官に被疑者の勾留(こうりゅう)を請求しなければならない(同法205条1項)。この時間の制限は、被疑者が身体を拘束されたときから72時間を超えることはできない(同法205条2項)。すなわち、逮捕された被疑者は最大で3日間の身柄拘束を受けることになる。
 緊急逮捕、現行犯逮捕についても、逮捕後の手続は、通常逮捕の場合と同様である。重大な本件について取り調べる目的で、まず軽い別件で逮捕・勾留しておいてもっぱら、または主として本件について取調べをするような、いわゆる別件逮捕は違法である。令状主義を潜脱することになるからである。[内田一郎・田口守一]

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