改訂新版 世界大百科事典 「キンコ」の意味・わかりやすい解説
キンコ
Cucumaria japonica
ナマコ綱キンコ科の棘皮(きよくひ)動物。生殖腺が黄色いのを砂金を食べて腸に金を含んでいるとしてこの名がある。またフジの花の色をしているところからフジコとも呼ばれる。茨城県以北から北海道沿岸の浅海にすむ。体は長さ15~20cmの楕円形で,背面は平たいが,腹面は強く湾曲する。体には褐色の大きい斑紋があるが,個体によって濃淡に変異がある。前端の口の周囲には細かく枝分れした10個の触手がある。管足は各歩帯に2列に並ぶが,背側には少なく,間歩帯にも散在している。肉が薄くて,昔は肥料にしかならなかったが,1925年に乾製品化に成功し,一時は高価で中国料理の材料として上海に輸出したこともあった。食用にする地方もある。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報