オトフリート(その他表記)Otfri(e)d

改訂新版 世界大百科事典 「オトフリート」の意味・わかりやすい解説

オトフリート
Otfri(e)d

9世紀中期のドイツ修道士生没年不詳。エルザスのワイセンブルク修道院で870年ごろ四福音書にもとづくキリスト伝《福音書》を古高ドイツ語叙事詩にまとめ,ルートウィヒ2世に献じた。先行の《ヘーリアント》と異なり,ここではゲルマン伝統の頭韻にかわってラテン聖歌を手本とする脚韻の試みが成功しており,ドイツ文芸が部族的口承文芸の域を脱して,古典的・キリスト教的ヨーロッパ文学に成長する過程の記念碑的作品といえる。
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百科事典マイペディア 「オトフリート」の意味・わかりやすい解説

オトフリート

9世紀中葉,ドイツ,エルザスのワイセンブルク修道院の修道士。Otfridとも。生没年不詳。その《福音書》(870年ころ)は作者名が残るドイツ最古級の著作で,《ヘーリアント》に次ぐ重要な古高ドイツ語の文献

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オトフリート」の意味・わかりやすい解説

オトフリート
Otfried

9世紀後半ドイツ,アルザス地方ワイセンブルクの修道士,詩人。彼の『福音書』 Evangelienbuch (870頃) は,脚韻を用いた最古のドイツ詩。

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世界大百科事典(旧版)内のオトフリートの言及

【キリスト教文学】より

…ほぼ同代に詩人セドゥリウス・スコトゥスSedulius Scotus(9世紀半ば),エリウゲナがあり,後者は多くの思弁哲学や神学の著述で中世学界に重きをなした。この時代にようやく芽ばえたドイツ文学にも,オトフリートの《福音歌》,低ドイツ古語による《救世主》の宗教的記念碑がある。 つぎの世紀はオットー1世による文教の復興期で,各地の修道院を中心に詩人・学者が輩出したが,中に特筆すべきは,中世ラテン宗教劇の圧巻であるガンダースハイムのロスウィータの多く殉教者伝に取材した6編の散文劇と,教会音楽に重要な地位を占めるミサの続唱(セクエンティアsequentia)の発展である。…

※「オトフリート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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