先行(読み)せんこう

精選版 日本国語大辞典 「先行」の意味・読み・例文・類語

せん‐こう ‥カウ【先行】

〘名〙
① (━する) 他より先に行くこと。先を進むこと。さきだつこと。前行
令義解(833)公式「別給駅子一人。〈謂。駅子騎馬為先行者〉」
※哲学階梯(1887)〈今井恒郎訳〉一「是に由て見れば断定、即ち思惟は概念に先行せさざるべからず」 〔史記‐淮陰侯伝〕
② (━する) 先にたって案内すること。導くこと。手びき。
※哲学階梯(1887)〈今井恒郎訳〉二「蓋し論理学は凡ての他の学問の先行となるものなるを以て」
③ (━する) 先に行なうこと。
※アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉八「要するに時代的な公式を先行して示したに過ぎないと云ふのだったが」
④ 以前の行ない。前行。

さき‐ゆき【先行】

〘名〙
① 先に行くこと。先発。さきいき。
② ゆくすえ。ゆくさき。前途の見通し。また、先へいってよいことがあること。将来繁栄すること。さきいき。
評判記色道大鏡(1678)一四「或は後家の年さだ過て、さきゆきすべき比にもあらねば」
さい果て(1964‐71)〈津村節子〉四「贅沢はもとより望まないが、先ゆきいくらか明るい見通しがなければ」
③ 取引市場で、将来の相場の動きをいう。さきいき。
東京日日新聞‐明治一四年(1881)一一月一四日「味噌、先行思はしからざれども元方高直の為前回より上向なり」

さき‐いき【先行】

〘名〙
浄瑠璃三世相(1686)四「ヤイサ左京悪性者、傾城狂ひが高(こう)じていはれざる比丘尼狂ひ、さきいきがせまいぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「先行」の意味・読み・例文・類語

せん‐こう〔‐カウ〕【先行】

[名](スル)

㋐他の人に先だって行くこと。前行。「先行したグループと合流する」「先行部隊」
㋑他の事柄よりも先に進むこと。「実力より人気が先行する」「時代に先行する意見
先にたって手引きをすること。先導すること。「地元の友人が先行してドライブに出かける」
スポーツの試合などで、相手よりも先に得点すること。始めにリードすること。「母校のチームが二点先行する」「先行馬」
他に先だって行われること。「シンポジウムに先行して講演会を開く」「先行投資」
それ以前に行われていること。「実存主義に先行する思想」「先行法規」
[類語]先んずる先んじる先立つ先駆ける先走る先に立つ先頭を切る先導主導誘導率先音頭取り先駆前駆先回り抜け駆けリード

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「先行」の読み・字形・画数・意味

【先行】せんこう

前行。

字通「先」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android