日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナガウツボ」の意味・わかりやすい解説
オナガウツボ
おながうつぼ / 尾長鱓
slender giant moray
[学] Strophidon sathete
硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。駿河(するが)湾、和歌山県沿岸、土佐湾、沖縄島、台湾、マカオなど西太平洋、西インド洋に広く分布する。体は細長く、前部では円筒形で、尾部では側扁(そくへん)する。体高は頭長の約3分の1。尾部は著しく長く、肛門(こうもん)前長(吻端(ふんたん)から肛門までの長さ)のおよそ1.5~2.0倍。脊椎骨(せきついこつ)数は183~208。吻はいくぶん丸い。口は非常に大きく、後端は目のはるか後方まで開く。上下両顎(りょうがく)には2列の鋭い歯が並び、内列歯と前方の歯は外列歯より大きい。目は著しく小さく、上顎の後端よりも吻端近くに位置する。目の後下方に頭部側線感覚管の孔(あな)がある。背びれは鰓孔(さいこう)より前方の頭の上から、臀(しり)びれは肛門の直後から始まる。体は灰褐色~褐色で、腹側面ではやや淡い。水深15メートル以浅の浅海の泥底域にすみ、ときには内湾、河口域、河川でもみられる。泥の中から頭を垂直に出して小魚、甲殻類などさまざまな小動物を食べる。日本のウツボ類中では最大で、全長3メートルほどになるが、70センチメートルほどのものが多い。沖縄では刺網(さしあみ)で漁獲される。本種とタケウツボは同種であるとする研究者もいる。
[尼岡邦夫 2019年6月18日]