日本大百科全書(ニッポニカ) 「タケウツボ」の意味・わかりやすい解説
タケウツボ
たけうつぼ / 竹鱓
string moray
[学] Strophidon ui
硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。和歌山県田辺湾と土佐湾に分布する。仔魚(しぎょ)は駿河(するが)湾と九州南西部沖からとれている。体は側扁(そくへん)し、著しく細長い紐(ひも)状。体高は低く、全長は体高のおよそ40倍。尾部は著しく長い。脊椎骨(せきついこつ)数は191。吻(ふん)はいくぶんとがる。口は非常に大きく、後端は目のはるか後方に達する。上下両顎(りょうがく)の歯は2列で、内列歯は外列歯より大きい。目は著しく小さく、上顎の後端よりも吻端近くに位置する。目の後下方に頭部感覚孔がない。背びれは鰓孔(さいこう)より前方の頭の上から始まる。体は淡紫褐色~褐色。背びれと臀(しり)びれの後部と尾びれが黒い。水深100メートル以浅の泥底域にすみ、底引網でよくとれるが、食料用として利用されていない。最大全長は1.5メートルほどになる。本種はオナガウツボによく似るので、同種とする研究者もいる。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]