改訂新版 世界大百科事典 「オビヤスデ」の意味・わかりやすい解説
オビヤスデ
倍脚綱(ヤスデ綱)オビヤスデ科オビヤスデ属Epanerchodusに属する節足動物の総称。体長2~3cm。胴節は20個で歩肢31対。紫褐色か褐色で背板は平たく,ひさしのように横につき出している。各背板の上面には3列の微小な彫刻模様があるので他のヤスデ類と区別しやすい。眼はない。森林や草地の落葉の中にふつうに生息しているが洞穴内に特化した白色の種がすみ,コウモリの糞などの有機物を食物としているものもある。産卵のときに雌は泥で半球状のドームをつくり,その中に多数の卵をまとめて産み放置する。孵化(ふか)した幼虫は3対の歩肢をもち,脱皮ごとに体節と歩肢が増え(増節変態),7回の脱皮のあと成体になる。日本全国に分布し,ヒガシオビヤスデ,フジオビヤスデなど数十種類がある。体形のよく似た近縁の属は世界の温帯地方を中心として分布し,種類数もたいへん多い。
執筆者:篠原 圭三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報