日本大百科全書(ニッポニカ) 「オポヤーズ」の意味・わかりやすい解説
オポヤーズ
おぽやーず
Опояз/Opoyaz
詩的言語研究会Общество изучения поэтического языкаの略称。モスクワ言語学サークルとともに、ロシア・フォルマリズム運動を担った。ペテルブルグ(現サンクト・ペテルブルグ)を拠点としたオポヤーズは、シクロフスキー、エイヘンバウム、ティニャーノフらの文芸学者と、ポリバノフ、ヤクビンスキーらの言語学者からなり、斬新(ざんしん)な詩学、詩的言語論を展開した。その成立時期については種々の説があるが、最初の出版物としては、シクロフスキー著『言葉の復活』(1914)があげられる。すでにそこでは、芸術の手法とは事物を異化・非日常化する手法であるとの考えが鮮明に打ち出されている。その後もオポヤーズは『詩学――詩的言語論集』をはじめ、多くの著作を公にしてゆくが、元来、組織的な集団というよりも、出入り自由のサークル的性格が強く、モスクワ言語学サークルや未来派詩人たちとの交流も活発であった。フォルマリズム批判の高まった1920年代なかばに解散している。
[桑野 隆]