日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルビー」の意味・わかりやすい解説
オルビー
おるびー
Robert Olby
(1933― )
イギリスの科学史家。ダルウィッチ・カレッジ、ロンドン大学、オックスフォード大学で学んだのち、リーズ大学の哲学科講師。専攻は科学史および科学哲学。19世紀から20世紀にかけての生物学史、とくに遺伝学の発展を中心にメンデリズムの起源や分子生物学成立の状況を分析した著作がある。なかでも『二重らせんへの道』The Path to the Double Helix(1974)は、1953年のワトソン‐クリックのDNA分子モデル形成に至る道筋に焦点をあわせ、20世紀初めからの分子生物学草創期の研究を詳しく取り上げ、歴史的に論じており、分子生物学成立史の古典となっている。ほかに『Origins of Mendelism』(1966。『メンデル遺伝学の起源』)、『Charles Darwin』(1967。『チャールズ・ダーウィン』)、『Companion to the History of Modern Science』(1990。『現代自然科学史の道連れ』)などがある。
[石館三枝子]
『長野敬・道家達將・石館三枝子他訳『二重らせんへの道』上下(1982、1996・紀伊國屋書店)』▽『Companion to the History of Modern Science(1990, Routledge London, New York)』