2004年に登録された世界遺産(文化遺産)で、モンゴルの中央部、首都ウランバートル南西のオルホン川両岸に広がる渓谷にある。オルホン渓谷は、昔から豊かな草原が広がる肥沃な土地で、北アジアの遊牧民族国家は必ずここを本拠地とした。そのため、石器時代からモンゴル帝国の時代までの数多くの考古学遺跡が残っている。オルホン渓谷の主要なモニュメントには、8世紀のトルコ系の遊牧国家、ウイグルの都の跡とされるカラ・バルガスン遺跡、ウイグルに滅ぼされるまで、モンゴル高原から中央アジアまでを支配した突厥(トッケツ)の遺跡に残る石碑、1220年にチンギス=ハンが町を建設した、モンゴル帝国最初の首都カラコルムの遺跡、カラコルムに16世紀に建てられたチベット仏教のエルデネ・ズウ僧院跡などの史跡がある。このほか、石碑や岩壁画などの遺跡が数多く草原に点在している。これらの遺跡は、2000年以上にわたる遊牧民の重要な文化遺産であることが評価され、世界遺産に登録された。◇英名はOrkhon Valley Cultural Landscape