日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルレアネ」の意味・わかりやすい解説
オルレアネ
おるれあね
Orléanais
フランス中部にある旧州名。オルレアネの名は旧州都オルレアンに由来する。現在のロアレ、ロアール・エ・シェル、ウール・エ・ロアールの3県の範囲に相当する。ノルマンディーからベリーにかけて広がり、北はボース地方から南はソローニュ地方までを含むが、主要部分はロアール川の流域である。東部のガチネ地方は、穀物、ジャガイモ、飼料用作物などの小規模経営と、牧畜、養蜂(ようほう)業が盛んである。中部と西部のボース平野では、小麦、大麦、テンサイなどの大規模経営が卓越している。最西部のペルシュ地方では、農家が散在し、農牧地が土堤と樹木列によって囲まれるボカージュbocageの景観がみられ、散村集落にウマの飼育がなされる。ロアール川北部は林地が広がり、南部のソローニュ地方は沼沢地が多い。19世紀中ごろから開発がなされたロアール川流域は、もっとも地味豊かな地域で、人口密度も高く、集約的な農業が発展する。中世以来たびたびオルレアン家が領地として支配したが、1626年にフランスに属するようになり、1790年には前記の3県に分割された。
[高橋伸夫]