顎脚類
がっきゃくるい
maxillopod
顎脚綱 Maxillopodaとしてまとめられる甲殻類の総称。形態も生態も変化に富むグループが含まれている。自由生活性のカイアシ類などは典型的な形態,すなわち頭部,胸部,腹部の各体節に 1対ずつの付属肢をもっているが,寄生性のカイアシ類やフクロムシ類,固着性のフジツボ類などでは体制が単純化して,原型をとどめないほど変形していることもある。基本的には 5節からなる頭部には 2対の触角,1対の大顎,2対の小顎がある。第1触角は単枝,第2触角は二叉型である。胸部は 7節からなり,各節に 1対ずつ付属肢(胸肢)がある。第1胸節が頭部と癒合して頭胸部となり,その付属肢が顎脚に変形していることが多い。胸肢はいずれも二叉型である。腹部は第3節目まで付属肢がなく,最後の肛門節には枝状肢が 1対ある。顎脚綱内の分類に関しては鰓尾亜綱 Branchiura(チョウ類。→チョウ),カイアシ亜綱 Copepoda,ヒゲエビ亜綱 Mystacocarida,貝虫亜綱 Ostracoda(貝虫類),鞘甲亜綱 Thecostraca(フジツボ類,フクロムシ類)に細分するのが一般的であるが,近年の分子系統学的研究により,独立の門とされていたシタムシ類を舌形亜綱 Pentastoma(→舌形動物)として顎脚綱に含めることが多い。(→節足動物)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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