カサレブサ(その他表記)Katharevusa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カサレブサ」の意味・わかりやすい解説

カサレブサ
Katharevusa

現代ギリシア語文語。「純正語」の意で,かつてのギリシア公用語。1976年にディモティキと呼ばれる現代ギリシア語の民衆口語が正式に公用語となるまで,行政や司法関連の公文書だけでなく,新聞や技術文書の多くもカサレブサで書かれていた。カサレブサは 19世紀,ギリシア語から外国語の要素を取り除いて「純化」し,古代ギリシア語の語根や伝統的な語尾変化を用いてその形態を整えようとする動きから生まれた。構文は口語のディモティキと大差ないが,外来語の影響はディモティキよりもはるかに受けにくかった。1828年のギリシアのオスマン帝国からの独立後,カサレブサはアテネのロマン派作家たちの間で盛んに使われた。代表的な作品に,アレクサンドロス・リゾス・ランガベスの古典的な頌歌賛歌バラッドや物語詩,悲劇や喜劇,美辞麗句をふんだんに使って愛国心を歌いあげたアキレフス・パラスコスの詩がある。1880年代には,文学表現のための言語としてはディモティキがより多く用いられるようになった。カサレブサの多くの要素はディモティキに取り入れられ,今日ではこの二つ一つになって標準現代ギリシア語 Koini Neoellinikiを形成している。(→ギリシア語

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