ディモティキ(その他表記)Demotiki

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディモティキ」の意味・わかりやすい解説

ディモティキ
Demotiki

現代ギリシア語口語。標準語として話しことばに使われており,20世紀の時点でギリシアの創作文学に使用されるほぼ唯一の言語となっていた。1976年1月に公用語に指定され,それまで使われていたカサレブサに代わって政府文書や法的文書,法廷議会,学校,新聞その他の出版物に使用される言語となった。古代ギリシア語の語彙音韻論文法が基礎となっているが,それらは大幅に修正,簡素化されている。ディモティキに浸透している多数の外来語や構文は,古典期以降のギリシアを支配したさまざまな外国勢力や,ビザンチン帝国の建設から十字軍ベネチア侵攻オスマン帝国占領にいたるまでの歴史を反映している。特にオスマン帝国による支配は,ギリシアの文学的な継続性と発展を阻害したため,19世紀前半にギリシアが独立を回復すると(→ギリシア独立戦争),多くの民族主義者が古代ギリシア語に類似した純粋文語カサレブサを開発した。1967年のギリシア・クーデター以降,軍事政権下で学校でもカサレブサの使用が厳しく義務づけられた。しかし 1974年に民主主義が復活すると,言語面でも民主化がはかられ,民衆口語であるディモティキが公用語として認可された。今日ではディモティキとカサレブサの二つが統合され,標準現代ギリシア語 Koini Neoellinikiとなっている。(→ギリシア語

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世界大百科事典(旧版)内のディモティキの言及

【ギリシア】より

… 独立直後のギリシアでは新古典主義が盛んで,擬古的な〈カタレブサ(純正語。カサレブサとも)〉が公用語とされたが,1880年代よりプシハリスらにより言文一致運動が進められ,〈ディモティキ(民衆語,口語)〉が文学用語の地位を得た。その後両言語の統一問題は政治上の議論とも絡まって(たとえば軍事政権下ではカタレブサが奨励されるなど)長い間解決を見ていなかったが,1977年のディモティキ使用の法令,82年の政令による単一アクセント方式の採用により言語論争に一応の区切りがつけられた。…

※「ディモティキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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