改訂新版 世界大百科事典 「カソボン」の意味・わかりやすい解説
カソボン
Isaac Casaubon
生没年:1559-1614
フランスのギリシア文学研究家。ジュネーブのユグノーの家に生まれ,幼時より父から古典語の手ほどきを受け,1596年モンペリエ大学でラテン文学を講じるかたわら,ギリシア文学を研究。99年アンリ4世の招きでパリに赴き,宮廷講師,1604年王立図書館長次席となり,王の暗殺(1610)後イギリスを訪ね,その地で没した。墓はウェストミンスター・アベーにある。彼の古代文学・歴史作品の校訂・注釈の業績は多岐にわたるが,主たるものは《ストラボン》注釈(1587),テオフラストスの《人さまざま》の校訂と注釈(1592),《スエトニウス》(1595),《テオクリトス》異読研究(1596),《アテナイオス》(1597)と注記(1600),《ヒストリアエ・アウグスタエ・スクリプトレス》(117-284年のローマ歴代皇帝の諸伝記集にカソボンが付した題名,1603),《ペルシウス》(1605),《ポリュビオス》(1609)などの校訂と注釈が挙げられる。そのほかに《書簡集》(1709),《日記》(1850)も刊行されている。
執筆者:久保 正彰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報