テオフラストス(読み)ておふらすとす(英語表記)Theophrastos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオフラストス」の意味・わかりやすい解説

テオフラストス
ておふらすとす
Theophrastos
(前370ころ―前288/285)

古代ギリシアの大学者。アリストテレス弟子で、共同研究者にして後継者。レスボス島エレソスの生まれ。師の小アジア遍歴時代から行をともにし、アテネに師とともにペリパトス学派(アリストテレス学派)を開いた。植物学の祖とされるなど、観察や調査に基づく実証的研究に本領を発揮した科学者で、ギリシアの学問成立と発展に果たした功績は絶大である。200に余る著作があったとされるが、現存するものは『植物誌』9巻、『植物発生学』6巻、『自然学的小論』数編、『形而上(けいじじょう)学』などのほか、とくに有名なのは『性格論』(『人さまざま』)で、後世の文学者にしばしば模倣された。さらに、断片として残る『自然学者学説集』が、ソクラテス以前の哲学史の主要資料として貴重であり、『法律』はギリシアの法制資料として重要である。

[田中享英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオフラストス」の意味・わかりやすい解説

テオフラストス
Theophrastos

[生]前372頃. レスボス島,エレソス
[没]前287. アテネ
ギリシアの哲学者。本名 Tyrtamos。プラトンアリストテレスに学び,アリストテレスに次いでペリパトス学派の学頭となる。『形而上学』Ta meta ta physika,『性格論』Charaktēresは有名。師アリストテレスの学説の組織化,体系化に努め,特に植物学,地理学の基礎を築いた。また『自然学説』Peri physikōn doxaiは以後多くの哲学史編纂家にとってほとんど唯一の典拠となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報