テオクリトス(読み)ておくりとす(英語表記)Theokritos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオクリトス」の意味・わかりやすい解説

テオクリトス
Theokritos

[生]前310. シラクサ
[没]前250頃
ギリシア詩人牧歌の創始者。シチリアからコス島に渡ってフィレタスのサークルに加わり,そこからアレクサンドリアに移り,再びコス島または近くの島に移住したらしい。詩集『小景詩』 Eidylliaは,牧歌,ミモス,頌徳詩,賛歌エピュリオン,抒情詩,エピグラムその他から成り,なかでも彼の名を不朽にしたのは,シチリアの田園風景のなかで歌い戯れる牧人たちを描いた牧歌 Būkolikaである。また失恋を月に訴える女の独白から成る『女魔法師』 Pharmakeutria,アドニスの祭りに行く2人の女を描いた『アドニス祭の女』 Adōniazūsaiなどのミモスも有名である。ウェルギリウスらローマの詩人たちに深甚な影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオクリトス」の意味・わかりやすい解説

テオクリトス
ておくりとす
Theokritos
(前300ころ―前260ころ)

古代ギリシアの詩人。シチリア島の出身。生涯の大部分を異郷で、とくにコス島とアレクサンドリアで送ったらしい。アレクサンドリアではエジプト王プトレマイオス2世(フィラデルフォス)の愛顧を得た。作品は24編のエピグラムのほかに30編の詩が現存する。彼の名を後世まで高くしたものは「ミーモス」と「牧歌」である。作品の特徴は、生彩ある叙述豊饒(ほうじょう)な叙情性とドラマチックな構成で、その効果はとくに「牧歌」に著しい。彼は西洋文学における牧歌の創始者、またアレクサンドリア時代を代表する大詩人と目され、後世に大きな影響を与えた。

[伊藤照夫]

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