アテナイオス(その他表記)Athēnaios

デジタル大辞泉 「アテナイオス」の意味・読み・例文・類語

アテナイオス(Athēnaios)

2世紀ごろのギリシャ文人。その著書博士饗宴きょうえん」は今に伝わる最古の料理大全と呼ぶべきもので、当時の日常生活を知るうえでの貴重な資料生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「アテナイオス」の意味・読み・例文・類語

アテナイオス

  1. ( Athēnaios ) 二〇〇年頃のギリシアの散文作家。エジプトに生まれる。現存する「デイプノソフィスタイ(賢者の宴会)」一五巻は文学や風俗に関する貴重な資料。

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改訂新版 世界大百科事典 「アテナイオス」の意味・わかりやすい解説

アテナイオス
Athēnaios

200年ころ活躍したギリシアの著作家。生没年不詳。伝記的な詳細は不明であるが,エジプトのナウクラティスの出身で,最初アレクサンドリアで学び,のちローマで暮らしたと伝えられる。残っている作品は《デイプノソフィスタイ》(〈宴席智者〉の意)だけであるが,これは全15巻の膨大な著作で,最初の2巻および第3巻の一部などは抜粋の形になっているので,本来は全30巻だった作品が15巻にまとめられたとする説もある。教養ある金持ちのローマ人ラレンシウスによって催された大宴会での識者たちの会話を記録した形式をとっていて,宴席には歴史上著名な人物である医者のガレノスや法律家のウルピアヌスをはじめとして,およそ30人ほどの学者が出席しており,その中には著者自身も登場人物の一人として顔を見せている。作品全体の枠組みが宴会の形になっているので,その点ではプラトンに代表される饗宴文学の系列に属するものと考えられる。語られる話題としては,食物や料理についてはもちろんのこと,社会生活,習慣作法,芸術,科学など,広い範囲にわたっている。そのため1500を超える古代の学者や文人の著作から引用がなされていて,あらゆる分野にわたる著者の好奇心の強さを示している。これほど多数の文献をアテナイオス自身が完全に読んでいたかどうかはわからないが,大変な量の知識をもっていたことは疑いない。その知識は著者が大図書館で有名なアレクサンドリアで学んだときに得たものと考えられる。広く古代の生活全般にわたってさまざまな情報を伝えており,とくに現在では失われてしまったギリシアの中喜劇や新喜劇の作品が,アテナイオスに引用されて断片的に伝えられているが,これはほかにまったく資料がないため貴重なものとなっている。古代の文学の研究にも民俗学的研究にも重要であり,ルネサンス期のラブレーなどもこの著作に親しんでいたと考えられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アテナイオス」の意味・わかりやすい解説

アテナイオス
あてないおす
Athenaios

生没年不詳。200年ごろ活躍した古代ギリシアの文人。ナウクラティス(エジプト)出身。経歴は不明。その著『博士の饗宴(きょうえん)』Deipnosophistai(15巻の体裁で現存)は今日まで伝わる最古の「料理大全」とよぶべきもの。文学研究家、詩人、歌手、演奏家、哲学者、医師、役人、法律家などが3日間にわたる大宴会の席で談論風発、ありとあらゆる話題を提供するという枠構造のなかに、世界各地の料理法、贅(ぜい)を尽くした美食趣味、酒、果実、家具食器、宴席につきものの歌舞音曲、手品などについてのおびただしい情報が盛り込まれている。「饗宴(シュムポシオン)」形式の文学作品としてみればプラトンやクセノフォンのその名の作には及ぶべくもないが、古代ギリシア・ローマの日常生活を伝えてくれる点では無二の資料である。またこの書は、失われてしまっていまに伝わらない劇を1000以上も引用してくれているので、古代ギリシアの中期喜劇、新喜劇についての最大の情報源として文学史的価値はきわめて高い。

[中務哲郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アテナイオス」の意味・わかりやすい解説

アテナイオス
Athēnaios

200年頃活躍のギリシアの文人,文法学者。エジプト,ナウタラスの生れ。主著『デイプノソフィスタイ (食通たちの宴) 』 Deipnosophistai (15巻) が現存する。これはローマの高官の家に 23人の哲学者,文献学者,医者,芸術家たちが会食しながら,さまざまな事柄を語り合うというもの。逸話と引用がふんだんに織込まれ,古代の文学,芸術,私生活に関する研究解説の多彩な収集をなし,同時に中喜劇,新喜劇,ヘレニズム文学の断片を後世に伝える役割も果した。

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百科事典マイペディア 「アテナイオス」の意味・わかりやすい解説

アテナイオス

200年ころ活躍したエジプトのナウクラティス出身のギリシアの著作家。おびただしい話題と引用文ゆえに貴重な資料となっている大著《ディプノソフィスタイ》(〈宴席の智者〉の意)を残す。

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