カチェマク文化(読み)カチェマクぶんか(その他表記)Kachemak culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カチェマク文化」の意味・わかりやすい解説

カチェマク文化
カチェマクぶんか
Kachemak culture

アメリカ合衆国アラスカ州中南部のキーナイ半島南部にあるカチェマク湾周辺で発見された文化。紀元前8世紀から歴史時代まで続いたと考えられ,3期に分類される。第1期は特にエスキモー文化の性格が顕著である。カチェマク人は海岸に集落を形成し,カリブーヘラジカアザラシなどの海生哺乳類やクマの狩猟を行なった。魚介類や鳥も捕食したほか,第1期の初めを除いては捕鯨も行なったと考えられる。初期の石器は石やスレート粘板岩)を打剥してつくられたが,のちに研磨されるようになった。球形卵形の石製ランプ,人をかたどった写実的な石の彫刻も発見されており,第3期には銅器や陶器も出現。岩に描かれた壁画はきわめて図案化された人間や動物がモチーフとなっているものが多い。初期の住居についてはほとんど知られていないが,第2期では石とクジラ脊椎が用いられ,その後は半地下の丸太小屋となる。また,全期間を通じてイヌが飼われていた。埋葬形態は,遺体を屈折させる屈葬で,副葬品も添えられた。末期には象牙などでつくられた人工の骨や目が遺体の上に置かれた。東アジアや陸続きの近隣地域,コディアク島との文化的なつながりが示唆されている。

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