スレート(読み)すれーと(英語表記)slate

翻訳|slate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スレート」の意味・わかりやすい解説

スレート(板状製品)
すれーと
slate

板状製品で、屋根葺(ふ)き材料または内外壁、天井などに用いられる材料の一種スレートは本来、粘板岩を薄板状に剥(は)いだ石板のことであるが、今日では繊維で強化した板状または波板状に成形したセメント板もあわせてスレートとよんでいる。しかし混乱を防ぐため、前者を天然スレート、後者をスレートとよぶことが多い。天然スレートはヨーロッパにおいて産出量が多く、緻密(ちみつ)で吸水性に優れていることから屋根葺き材料として用いられることが多いが、日本においては東北地方に若干産出される程度である。スレートはセメント、岩綿(ロックウール)などの繊維強化材、水を混合攪拌(かくはん)し、水泥状にしたものを板状に抄造成形したもので、厚さは6ミリメートルのものが多い。形状により波板と平板とがあり、波板には波の大きさにより大波、小波などがある。用途としては工場、倉庫などの屋根や外壁などがおもなところである。平板であるスレートボードには、原料配合や品質によりフレキシブル板、軟質フレキシブル板、平板、軟質板の4種類があり、内外装材として用いられるほか、屋根葺き材料、トンネル内張り材などに用いられている。

 屋根葺き材料の一種に厚型スレートがあるが、これはセメントモルタルを加圧して瓦(かわら)状に成形したものである。

向井 毅・西岡思郎]


スレート(粘板岩)
すれーと

粘板岩

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スレート」の意味・わかりやすい解説

スレート
slate

粘板岩の石盤が原義であるが,それを屋根ふきにも使用したことから現在では屋根材,板材などをさす場合が多い。建築材の場合,天然スレートは粘板岩あるいは層状をなした頁 (けつ) 岩の薄板で,粘板岩のものは青黒色頁岩のものは灰黒色であるが,量はごくわずかで,人工的なものとして厚型スレート (プレス成型したモルタル製の瓦) ,石綿セメント板など,セメント製品が多い。平板と波板があり,大板,小板と大きさは各種。着色も自由で,断熱効果をもたせたり,強靭な素材を加えたものなど種類も多く,石質薄板,屋根・天井・内装・外装材料など用途も広くなっている。

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