スレート(読み)すれーと(英語表記)slate

翻訳|slate

デジタル大辞泉 「スレート」の意味・読み・例文・類語

スレート(slate)

粘板岩の薄板。屋根き材などにする。天然スレート。
石綿セメントで固めた薄板。石綿スレート。屋根・天井・内外装材に用いる。「スレート葺き」

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精選版 日本国語大辞典 「スレート」の意味・読み・例文・類語

スレート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] slate )
  2. 粘板岩。または粘板岩の薄い板。青灰色か黒灰色で、固くて剥離(はくり)性に富む。屋根瓦とし、また床に敷く。粉牌石。片岩。葉岩。天然スレート。
    1. [初出の実例]「夫れ世に高山と唱ふる者は、其絶頂皆『グラナイト』〈略〉『スレイト』〈粉牌石、平生児輩が西洋算術の稽古などに使ふ石板の石の事なり〉」(出典:西洋開拓新説(1870)〈緒方正訳〉地形)
  3. 石綿にセメントをまぜて作る薄い板。石綿スレート。人造スレート。
    1. [初出の実例]「そこはスレートを張った屋根裏にあるので、日が近いせゐか非常に暑い」(出典:ア・マリア(1923)〈谷崎潤一郎〉四)
  4. むかし筆記練習用に学童が使った学用品。石盤。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スレート」の意味・わかりやすい解説

スレート(板状製品)
すれーと
slate

板状製品で、屋根葺(ふ)き材料または内外壁、天井などに用いられる材料の一種。スレートは本来、粘板岩を薄板状に剥(は)いだ石板のことであるが、今日では繊維で強化した板状または波板状に成形したセメント板もあわせてスレートとよんでいる。しかし混乱を防ぐため、前者を天然スレート、後者をスレートとよぶことが多い。天然スレートはヨーロッパにおいて産出量が多く、緻密(ちみつ)で吸水性に優れていることから屋根葺き材料として用いられることが多いが、日本においては東北地方に若干産出される程度である。スレートはセメント、岩綿(ロックウール)などの繊維強化材、水を混合攪拌(かくはん)し、水泥状にしたものを板状に抄造成形したもので、厚さは6ミリメートルのものが多い。形状により波板と平板とがあり、波板には波の大きさにより大波、小波などがある。用途としては工場、倉庫などの屋根や外壁などがおもなところである。平板であるスレートボードには、原料配合や品質によりフレキシブル板、軟質フレキシブル板、平板、軟質板の4種類があり、内外装材として用いられるほか、屋根葺き材料、トンネル内張り材などに用いられている。

 屋根葺き材料の一種に厚型スレートがあるが、これはセメントモルタルを加圧して瓦(かわら)状に成形したものである。

向井 毅・西岡思郎]


スレート(粘板岩)
すれーと

粘板岩

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岩石学辞典 「スレート」の解説

スレート

(1) 細粒の堆積物で形成された非顕晶質で緻密な岩石の一般名.頁岩,泥岩,火山灰などの細粒の堆積物から形成されている.堆積面とは関係なく劈開面が斜交して発達し薄い板状に割れやすい性質がある.特に粘板岩のことをいう.薄い板に割ると岩質ではそれぞれの区別が付かなくなる[Hutchings : 1890].(2) 細粒の緻密な粘土質の低度の変成岩を指すことがある.この場合の変成作用はホルンフェルスよりも変成度は弱いものをいう.この岩石は普通は顕著な劈開(へきかい)を示さない.特別な鉱物を含むことがあり,菫青石スレート,空晶石スレートなどと呼ばれる.(3) 頁岩(shale)をスレートと呼ぶことがある.古いフランス語のesclateは裂けた破片(esclat)の女性形で,英語のsclateとなった.フランス語のeclaterは爆発するとか,草木の根分けをするの意味.力で小片に引き裂くことで,最も古い意味は屋根をふく薄い石材のことである.日本では江戸時代から薄く割れる石材を磐石,板石,石板などと呼んでおり,幕末にslateの語源となった[ランダムハウス : 1994,歌代ほか : 1978].現在でも日本では屋根をふく材料に粘板岩を用いている地方がある.

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百科事典マイペディア 「スレート」の意味・わかりやすい解説

スレート

(1)粘板岩のこと。(2)建築材料の一種で石質の薄板のこと。粘板岩の薄板である天然スレートは産出量が少なく珍重され,傾斜のきつい屋根を葺(ふ)いたり,壁の張石,敷石などに使用される。一般にはセメントに砂・石粉・石綿などを混合して練り,圧搾成形した厚形スレートが使用される。製造が簡易で自由な形が得られ,安価で耐火・耐水性をもつが,強度は一般に低い。屋根や壁板等に使用される。
→関連項目ポルトランドセメント

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スレート」の意味・わかりやすい解説

スレート
slate

粘板岩の石盤が原義であるが,それを屋根ふきにも使用したことから現在では屋根材,板材などをさす場合が多い。建築材の場合,天然スレートは粘板岩あるいは層状をなした頁 (けつ) 岩の薄板で,粘板岩のものは青黒色,頁岩のものは灰黒色であるが,量はごくわずかで,人工的なものとして厚型スレート (プレス成型したモルタル製の瓦) ,石綿セメント板など,セメント製品が多い。平板と波板があり,大板,小板と大きさは各種。着色も自由で,断熱効果をもたせたり,強靭な素材を加えたものなど種類も多く,石質薄板,屋根・天井・内装・外装材料など用途も広くなっている。

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不動産用語辞典 「スレート」の解説

スレート

屋根葺き材として使われる石質の薄い板状の部材を「スレート」といいます。
元々は、天然の粘板岩を薄い板状に加工した「天然スレート」が使われていましたが、最近では、石綿とセメントを加工した人工の屋根材である「石綿スレート」が普及しています。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「スレート」の解説

スレート【slate】

屋根・天井・壁などに用いる板状の建材。粘板岩(ねんばんがん)を薄く加工した天然スレートもあるが、セメントに人工繊維などを混ぜて作る人造スレート板が一般的。瓦(かわら)より軽い屋根材として普及。建物の外壁や天井などの内装にも用いる。

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リフォーム用語集 「スレート」の解説

スレート

元々は、板状になった石材の事。現在では、セメント(天然スレート)や石綿(石綿スレート)を主原料として板状または波板状に成形した建材の事を指す事が多い。屋根材や内外壁、天井に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のスレートの言及

【ケツ岩(頁岩)】より

…1/16mm以下の砕屑物質を主とする岩石を泥岩と呼ぶが,泥岩のうちで,本のページを重ねたようにみえ,剝離性を有するものをケツ岩と呼ぶ。さらに剝離性が発達すると粘板岩(スレート)と呼ばれる。剝離性は岩石が風化するとよく現れる。…

【結晶片岩】より

…例えば,変成岩の主成分鉱物が石英と白雲母であれば石英‐白雲母片岩と,また,変成岩の元来の化学組成上の性質を参考にして,例えば泥岩質の変成岩ならば泥質片岩pelitic schistというようによばれる。結晶の大きさが小さく片状組織もよく発達していない一群の変成岩は千枚岩とよばれ,さらに片状組織が弱いものは粘板岩(スレート)とよばれる。一方,変成度が高くなると,片状組織は弱いが結晶粒が大きく縞状組織をもつ片麻岩になる。…

【粘板岩】より

…泥岩あるいはケツ岩が弱い広域変成作用をうけて剝離性が発達した片状細粒岩。スレートともいう。変成作用が進んで強く再結晶や剝離性が発達したものは千枚岩という。…

※「スレート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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