改訂新版 世界大百科事典 「カニグモ」の意味・わかりやすい解説
カニグモ
crab spider
カニグモ科Thomisidaeに属するクモの総称。世界では約2000種,日本では約60種が知られており,頭胸部,腹部ともに長さより幅のほうが広い種が多く,また第1,2脚がとくに長大でカニに似ていて横にも歩けるのでこの名がある。網を張らない徘徊性のクモで,ハナグモ,カニグモ,アシナガカニグモ,ワカバグモ,アズチグモ,フノジグモ,エビスグモなどの属を含み,その形からとくにエビグモ,ガザミグモ,シャコグモなどのように海の動物の名がつけられているものが多い。ハナグモ,アズチグモ,フノジグモ,アシナガカニグモは花の中や下に潜み,花にくる昆虫を捕食する。その他のクモは草間,樹皮上,落葉中などを歩きまわって獲物を探す。代表種のヤミイロカニグモXysticus croceusは草間を徘徊し,ふつうに見られる。日本全土,朝鮮半島,中国に分布。体長は雌6~8mm,雄5~7mm,頭胸部は淡褐色,腹部は濃褐色の地に黄条斑がある。
執筆者:新海 栄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報