カニグモ(読み)かにぐも(英語表記)crab spider

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カニグモ」の意味・わかりやすい解説

カニグモ
Thomisidae; crab spider

クモ綱クモ目カニグモ科に属する種類の総称狭義にはカニグモ属 Xysticusの総称。前2対の歩脚が後2対よりも長く,前だけでなく横にも歩くことができるのでその名がある。徘徊性で,物陰にひそんで不意に獲物を襲う。日本産はハナグモなど約 50種が知られる。最も普通にみられるのはヤミイロカニグモで,体長7~8mm,5~9月頃活発に草の間を徘徊する。カニグモ科や近縁のエビグモ科 Philodromidaeには,ガザミグモ属 Pistius,ヤドカリグモ属 Thanatus,シャコグモ属 Tibellus,エビグモ属 Philodromusなど,甲殻類にちなんだ名が多い。 (→クモ類 )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カニグモ」の意味・わかりやすい解説

カニグモ
かにぐも / 蟹蜘蛛
crab spider

節足動物門クモ形綱真正クモ目カニグモ科(とくにカニグモ亜科)の陸生動物の総称。第1、第2脚が長く、前方のほか側方にも歩けるのでこの名がある。網を張らず物陰に潜み、不意に獲物を襲う。種類は多く、日本ではカニグモ科のものは約40種いる。ハナグモMisumenops tricuspidatusは体長5~6ミリメートルで、緑色の美しいクモで花にくる昆虫をとらえる。ヤミイロカニグモXysticus croceusは体長7~8ミリメートルで、褐色で、草間を徘徊(はいかい)する。フノジグモSynaema globosumは体長約7ミリメートルで、黄色の腹部黒色の「不」の字の斑紋(はんもん)がある。カニグモ科には甲殻類の名をとったものが多く、カニグモのほかにエビグモ、シャコグモ、ガザミグモ、ヤドカリグモなどがある。

[八木沼健夫]


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